• 本研究では、産地のデザイン活用の実態を明らかにするために、それまで行ってきたアンケートや会議に登場いただいた産地から、デザインに関わりがあり現地での調査協力が得られる産地を選定し、その基礎調査と現地調査を行い、そこからうかがえる産地のデザイン活用の成果と、その要因の分析評価をし、さらにものづくり産地のデザイン導入のしくみづくりを考察した。
 
 

 
    • 本研究は、萩原と研究協力者のこれまでの活動に基づいて行われた。
    • 研究の始まりは、平成24(2012)年に出版された本、『ものが生まれる産地 ものを輝かせるデザインーある公設試験場指導員の80-90年代奮闘記』(影山和則著、ラトルズ刊)に遡る。*1 この本の企画をした萩原修と著者の影山和則、編集の中野照子の話のなかから、変わる「産地とデザイン」会議がうまれた。多くの問題を抱える「産地」と「デザイン」について、行政、産地企業、デザイナー、流通などさまざまな立場の人と話し合い、考える場をつくろうとしたのである。
    • 平成24(2012)年には「継続すること 関係をつくること」、平成25(2013)年には「流通とプロデュース」、平成25(2014)年には「ものづくりとインターネット」をテーマに、延べ22名のパネラーの方々を囲んで、毎回約100人もの方々に集まっていただき話し合いが行われた。*
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    • さらに、平成282016)年と平成292017)年は、少人数でより深く話し合いたいと、素材別に6回の「産地とデザイン会議」を開催。平成282016)年は「木工」「陶磁器」「繊維」、平成292017)年には「金属」「紙」「漆」をテーマとした。*3
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    • また、平成29(2017)年には、産地企業の実態を知るために、アンケート調査『産地、ものづくり企業のデザイン導入に関するアンケート調査』を行った。これは、デザインが産地企業の活動にどのような役割を果たすのかを知るために企画したもので、全国の公設試験研究機関の協力を得て、全国の伝統・地場産業の企業53社から回答いただくことができた。*4
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    • こうした活動のなかで、産地とデザインの問題を探っていくには、現地での調査研究が不可欠だと考えるに至った。
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    • *1〜*4はinfomation参照。
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    • 調査産地の選定


    • 2017年に行ったアンケートの対象企業や20162017年の「産地とデザイン会議」での対象産地で、デザインの活用に積極的であり、現地での調査協力が得られる産地を6産地選び、研究対象とした。
    • 旭川(北海道)/木工
    • 富士吉田(山梨県)/繊維
    • 瀬戸(愛知県)/陶磁器
    • 美濃(岐阜県)/和紙
    • 高岡(富山県)/金属
    • 山中温泉(石川県)/漆器
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    • 追加調査は、現在、その活動が注目されている方々にお願いした。
    • 迫  一成 さん(新潟県新潟市)
    • 白水 高広 さん(福岡県八女市)
    • 新山 直広 さん(福井県鯖江市)

 
 

    • 現地調査体制


    • 本研究に至る経緯でのべたように、萩原と共に「産地とデザイン会議」の活動を行ってきた5人が研究協力者となっている。そのなかから21組で現地をたずね、産地企業、行政、組合、問屋、デザイナーなどに聞き取り調査を行った。

 

    • <「産地とデザイン会議」メンバー>
    • 影山 和則 / 元埼玉県産業技術総合センター 製品開発支援担当 主任専門員
    • 中野 照子 / 編集者。アトリエ苫人代表
    • 古庄 良匡 / デザインプロデューサー。小鳥来、古庄デザイン事務所代表
    • 吉川 友紀子 / デザインマネージャー。シュウヘンカ共同代表、ててて協働組合共同代表
    • 大沼 勇樹 / デザイナー。gyutto design代表